中島由佳先生の著書「ひとと動物の絆の心理学」の紹介
2016年7月23日 11時49分 [admin]<中川美穂子先生から「ひとと動物の絆の心理学」のご紹介をいただきました>
一言でいって「科学的実証 から導き出されたHumanity(人間性・慈愛)」の、とても読みやすい本。
10年前に、お茶の水女子大学無藤隆教授の研究室で出会い以降、中川と共に「学校での動物飼育が子どもの心の成長に与える影響」について実証研究や発表をしてきた中島由佳氏(発達心理学博士)が、本「ひとと動物の絆の心理学」を著わしたのでご紹介します。
これは、ひとと動物との絆―愛着が私たちの心身の健康にもたらす影響について、一般の方向けに記した本です。本書は、「ペット動物との関係がひとを癒すのではないか」という考えについて、1960年代以降の「毛のある家庭動物」の飼い主への心身の健康に与える影響に関する実証結果をたんねんに拾いながら、「どうして私たちは動物と暮らすのか。動物は本当に私たちの心身の健康に『効く』のだろうか。『効く』としたら、それはなぜ…?」ということについて、「愛着」をキーワードに綴られています。
特に第4章では、中川との共同研究である1000人もの児童を3年生3学期から5年生3学期までの3年間の縦断調査で得られた結論も紹介しながら「学校での動物飼育の影響」について論じてあります。(J. Jpn. Vet. Med. Assoc., 64, 227 ~ 233 (2011))
また、本書は、1月から始まる大手前大学が関わる無料インターネット講座JMOOC(Japanese Massive Open Online Courses)で、「ひとと動物の心理学」の講座に関連してまとめられ、動物との関係が私たちにもたらす恩恵とその影響について、より多くの方に知っていただくための本です。
中島由佳(なかじま ゆか)先生
大手前大学現代社会学部准教授 米国シカゴ大学大学院Humanities 修士課程修了
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科人間発達心理学専攻博士課程修了
博士(人文科学)
内閣府日本学術会議上席学術調査員
著書「ひとと動物の絆の心理学」
1章 「絆」を結ぶ:ともに暮らす理由
1 家庭動物との暮らし
2 ともに暮らす理由
3 養 護 性
4 話しかけること,受容されること
2章 「絆」の力:動物は「効く」のか
1 身体に効く:疾病に与える効果
2 心に効く:ストレス軽減に与える影響
3 病気の治療と動物
4 病院や施設での生活の質を上げるために
5 動物は「万能薬」か
6 なぜ「効く」のか
7 愛着の効果
3章 「絆」のゆらぎ:ペットロス,先立つ不幸,問題行動
1 動物との別れ:ペットロス
2 動物を飼えない:先立つ不幸
3 結べない「絆」:社会化の重要性
4章 「絆」をつなぐ :子どもたちに伝えるべきもの
1 動物との暮らしで育つもの
2 動物を飼えばやさしい子に?
3 子ども,動物,家族
4 学校動物の世話で,育つもの
5章 おわりに :与えられた「絆」を大切に
1 動物によって,愛着の効果は違うのか
2 動物との関係をよりよくするために
3 ペット? コンパニオンアニマル? 相棒?
4 どうすれば動物との愛着を築けるのか